完全食って本当にかんぺき?食べるときに気をつけなきゃいけないことはある?完全食について、疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
本記事では、完全食のデメリットを管理栄養士が徹底解説します。毎日の食事に完全食をウマく取り入れるコツも紹介しますので、ヘルシーな食生活を送りたい方はぜひ最後までご覧ください。
結論から言うと、完全食にデメリットはあります。一番は「噛む回数がへる」次に「味が単調になる」「食事のコミュニケーションが減る」など栄養面以外に影響が。
しかし、完全食は健康な食生活を支えてくれる大切な食品です。完全食と普通の食事を合わせたり、生活シーンによって完全食を使い分けることでデメリットを解消できますよ。
完全食とは
完全食とは、1日に必要な栄養素(必須栄養素)が過不足なくバランスよく配合されている食品のことです。日清食品などの大手企業をはじめ、様々な企業が販売しており、食品タイプごとに食事タイプ、スナックタイプ、ドリンクタイプの3種類あります。
何も考えずに手軽に栄養がとれるので、献立を考える・料理を作ることが手間と感じる方にオススメな食品です。
完全食のデメリット
忙しい現代人に人気の完全食ですが、気になるのはデメリットですよね。完全食のデメリット5つについて、これから詳しく解説していきます。
噛む回数がへってしまう
完全食はドリンクタイプやスナックタイプが主流。いつもの食事と同じペースで食べていると噛む回数(咀嚼回数)は少なくなってしまいます。
そもそも現代において噛む回数は、弥生時代の6分の1以下に減っているのが事実。(日本歯学系学会協議より)
完全食に頼ることでさらに咀嚼回数は減り、健康にたくさんの影響が。
- 唾液が減り、虫歯になりやすい
- 口回りの筋力低下で表情がたるんでフケ見え
- 固いものが食べにくくなる
- 満腹感を感じにくく、食欲が満たされない
- 脳機能、記憶力などの低下
唾液が減ることで食べ物が口の中にとどまり、虫歯菌のエサに。口周りの筋力が落ちると口角が下がって不機嫌な印象やフケて見える原因になります。

噛まなくなると食欲抑制ホルモンの分泌が減り、食欲が止まらずに食べ続けてしまったり、食べたい気持ちからストレスがたまることも。
さらには、歯の噛み合わせが悪くなることで、脳機能や学習能力の低下を引き起こすとの研究結果もでています。
実際に口コミでも完全食は顎が弱くなるとの意見も。
厚生労働省は、健康のために「1回の食事で30回噛むこと(噛ミング30)」を推奨しています。健康のためにもよく噛んで食べるよう意識するのが大切ですね。
味が単調になる
ずっと同じ完全食を食べ続けると、感受性が低下して何を食べても単調に感じるようになり、ひいては生活のメリハリがなくなってしまいます。人は、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味を舌にある味覚受容体がはたらくことで、食べ物の味や風味を感じています。
しかし同じ味や風味の食品を繰り返したべると、その味覚受容体の感度が低下。その結果、どの食品を食べても味が単調に感じるようになるのです。
また味覚はストレスをつかさどる脳の快楽中枢と深い関わりも。おいしい食事を食べるとしあわせな気持ちになりませんか?
人は、新しい味・香り・風味などに出会ったとき、脳内の快楽中枢が刺激され「快感」や「しあわせ」な気持ちになります。それがストレス発散にも繋がります。
このため、完全食ばかりでは新しい刺激が起きずに楽しみや満足感が減少。生活にメリハリがなくなる、ストレスがたまる、食欲低下などの悪循環に。

食事のコミュニケーションがなくなる
一人でもくもくと食べることが多い完全食。食事どきにコミュニケーションがなくなり、ストレスを解消できないなど、こころの健康にも影響がおきることも。
もともと食事は、噛んで味わうことで幸福感が生まれたり、コミュニケーションの一環として人とのつながりを深めて心が豊かになるもの。

しかし、完全食は一人でもくもくと食べる「孤食タイプ」の食事。気軽に食べられて便利な一方、明らかに食事のコミュニケーションが減ってしまいます。
食コミュニケーションに関する調査によると、食事を通して家族、友人とコミュニケーションを取ることで、以下のようなものが「生まれた・育まれた」と実感しています。
- 家族の絆
- こころの健康
- からだの健康
- 食への感謝の気持ち
「家族、友人との絆」を深め、「楽しい食事で嫌なこと忘れる」などのこころのメンテナンスをするのが食事コミュニケーションの役割。たまには、家族や友人と楽しく食事をしてこころの健康を整えましょう。
親や家族、友人から心配される
ずっと完全食ばかり食べていると、あなたを大切に思っている家族や友人から心配されてしまいます。
「せっかくご飯作ったのに全然食べてくれない」
「食事に誘っても毎回断られる」
「いつも同じものばっかり食べている」
など心配の声が聞こえるかもしれません。
あなたの健康を気づかう親や家族、友人から食事に誘われたら、断らずに参加しましょう。
普段の食事を一食たべたくらいで不健康になることはないですよ。大切な家族、友人を不安にさせない程度に完全食を普段の生活に取り入れてくださいね。
エネルギー不足になる
完全食だけを食べつづけると栄養不足になる可能性もあるのです。完全食には必須栄養素が入っていますが、エネルギー(カロリー)は摂取基準よりも低い食品が多いのが事実。
必要な栄養素量は個人の体格や運動量によって大きく異なります。運動やスポーツをする男性は生きるために必要なカロリーだけでも多くのカロリーを消費します。ご自身の必要なカロリーをしっかり把握した上で完全食を活用しましょう。
完全食をウマくつかうコツ
いろんなデメリットがわかった完全食。日々の食事をサポートする食品として、毎日の食事の中で完全食をウマく使うことでデメリットを解消できます。
完全食だけには頼らない
毎食を完全食にたよる生活はNG!ふつうの食事もある程度取り入れることで、栄養面以外をカバーできますよ。取り入れる食事は、「歯ごたえのある食事」や「プチ贅沢な食事」がオススメ。
咀嚼回数が増える「歯ごたえのある食事」。例えば、大きめにカットされた根菜系の野菜や、きのこ、海藻の入った食事は噛む回数が自然に増えて、お口の健康にもうれしい効果も。
また、プチ贅沢な食事もぜひ取り入れてみてください。単調になりがちな完全食には無い新しい味に出会えたり、美味しい料理を味わうことで脳にも良い刺激に。こころの健康も満たされますよ。

おすすめの食事を取り入れることで、完全食だけでは得られない咀嚼回数や心の健康が得られます。
一つの完全食に頼らない
一つの完全食だけに頼らず、いくつかの完全食を組み合わせて活用しましょう。完全食は、大きく分けて3種類。食事タイプ、ドリンクタイプ、スナックタイプがあります。
手軽なドリンクタイプやスナックタイプだけではなく、噛み応えのあるパスタやカレーなどの食事タイプも併用するのがオススメですよ。
食事タイプは普段の食事のように食べれるので、咀嚼回数もアップ。さらに家族と一緒に食卓を囲めばコミュニケーションも円滑になりますよ。
忙しい時はスナックタイプ、時間に余裕があるときは食事タイプを活用するなど、ご自身の生活スタイルに合わせて効果的に取り入れましょう。
アレンジを楽しむ
一つの完全食ばかり食べると飽きてしまうことも。完全食のアレンジを楽しむことで、バリエーションが増えて「飽き予防」にもぴったり!
コンビニでも売られている人気のベースブレッドは、食材を乗せるだけのお手軽アレンジレシピが人気。バンズに野菜を挟んでバーガーにしたり、フルーツを乗せてデザートとして楽しむことも!
ハンバーガー
デザート
例えば「のっけ麺」。サバやたまごでタンパク質もプラスした上に、キムチや納豆を添えるだけで、食物繊維や乳酸菌も摂れます。
麺タイプは食物繊維とビタミンCが他の栄養素に比べてやや少なめなので、これらの栄養素を補給できるアレンジもアリ。
サッパリ食べたい時は、大根おろしにポン酢とレモンやすだちのしぼり汁を少し。食物繊維とビタミンもとれておすすめですよ。
まとめ
今回は完全食のデメリットやウマく使うコツについてお伝えしました。完全食はかむ回数が減ることで虫歯リスクの増加や記憶力に影響も。味が単調になりやすく、食事のコミュニケーションが無くなることで心の健康や家族からも心配されてしまいます。
完全食のデメリットをカバーするためには、普段の食事も取り入れながら、複数の完全食をシーンに合わせて使い分けましょう。さらに好きな食材を乗せるなどアレンジも楽しむと、単調になりがちな完全食をウマく活用できますよ。