完全栄養食(完全食)として、とても手軽で身近な食材として人気のたまご。
しかし、
- 卵だけでたべても健康に問題はない?
- ずっと卵だけ食べるなんて続けられない…
- 卵と同じくらい手軽な完全食はないの?
など、卵が本当に効果があるのか、また卵以外の完全食も気になりますよね。
卵は、栄養素がバランスよく配合されている完全食として、人気の食材です。しかし、卵だけでは足りない栄養素があるのも事実。
今回は、卵が完全食として人気の理由や健康への効果、完全食として食べるときの注意点などをお伝えします。
卵以外のオススメな完全食についても紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。
まず結論!卵以外にも使える完全栄養食とは?
栄養バランスが良いたまごは、消化吸収に優れ、手軽で使い勝手が良いので完全食として人気。しかし、ビタミンC、食物繊維が入っていないので、他の食材で補うことが大切です。
卵以外の完全食として、納豆、牛乳、バナナがオススメ。これらを組み合わせることでより健康的な食生活が楽しめます。
卵は本当に完全栄養食なの?
卵は、一部の必須栄養素が入っていないため、完璧な完全栄養食(完全食)ではなく、ほぼ完全食と言えます。
ただ1つの食材としては、栄養バランスに優れているので、一般的には完全食と呼ばれています。
たまごが完全食と呼ばれて注目されるのには、いくつか理由があります。
卵が完全食である理由
- 栄養バランスが良い
- 消化吸収が良い
- 価格が手頃で手軽に入手できる
- 調理法が無限にある
風邪をひいたときや、具合が悪い時、たまご酒やたまご粥を作ってもらった経験はありませんか?

これは、卵が栄養バランスに優れ、消化吸収の良い食材だから。
たまごは、体調が悪く、胃腸が弱っている時にも効率的に栄養がとれて、スーパーやコンビニなどで安く手軽に入手できるため、身近な栄養食品として昔から親しまれています。
生でも食べられる他、ゆで卵、目玉焼き、スクランブルエッグをはじめ、他の食材と混ぜていろんな料理に使えるたまご。和食、中華、洋食と、どんなジャンルの料理でも活躍できる、完全食として最も取り入れやすい食材なのです。
卵の栄養素
卵は人間が必要とするほとんどの栄養素を含み、タンパク質(アミノ酸)、脂質、ビタミン、ミネラルなどがバランスよく入っています。
タンパク質|アミノ酸スコア100

卵のいちばんの魅力は、必須アミノ酸が全て入っており、アミノ酸スコアも100と質の高いタンパク質源であること。
〈必須アミノ酸とは?〉
必須アミノ酸は、タンパク質中に20種類ほどあるアミノ酸の中でも、からだの中では作れずに必ず食事からとる必要があるアミノ酸のこと。
不足すると、体内のタンパク質合成や免疫機能の低下などが起こるほど、人には欠かせない栄養素。
〈アミノ酸スコアとは?〉
アミノ酸スコアは、必須アミノ酸量をどの程度満たしているかの基準値。スコアが100に近いほど理想的なタンパク質であることを示す。ほかのスコア100の食品として、アジ、大豆、牛乳などがある。
そんな必須アミノ酸全8種類を、たまごはバランスよく含んでいます。他の食材と比べても消化吸収が良いため、素早くエネルギーとして活用できる優れた食材なのです。
ビタミン
卵には、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンを含みます。ビタミンD、Kは骨の健康に役立つ成分。ビタミンA、Eは抗酸化作用や免疫力のアップに活躍します。
また、エネルギー代謝に必要な水溶性のビタミンB群も全種類入っています。
ミネラル
卵はミネラルも豊富です。カルシウム、マグネシウム、リンなどが入っており、骨の形成と柔軟性をサポートします。髪や肌の健康維持に必要な亜鉛、血を作る素となる鉄も入っています。
脂質
タンパク質とともに、エネルギー源となる脂質。細胞膜をつくるリン脂質やコレステロールが含まれます。また、オメガ脂肪酸と呼ばれる良質な脂質がたくさん入っている卵もあります。
足りない栄養素
ただし、完全食として、卵にも欠点があります。実は、卵にはビタミンCや食物繊維が全く含まれていないのです。ビタミンCや食物繊維は生きるために必要な栄養素の一つ。たまごをたべるときには、2つの不足栄養素を補うため、他の食品を一緒に食べることが大切です。
また、たまごにはコレステロールが多いため、食べすぎると健康に悪影響を与えることも。
卵を完全食として食べる場合は、適度な量にとどめて、ビタミンCと食物繊維が豊富なサラダや果物などを一緒にたべて、バランスのとれた食事を心がけましょう。

徹底比較!卵の栄養価
黄身と白身では入っている栄養は違う?
黄身と白身では、入っている栄養素が異なり、それぞれ違う特徴があります。
特徴 | 多く含まれる栄養素 | |
---|---|---|
白身 | ・水分が多い ・低カロリー ・ダイエットや、筋トレにぴったり | たんぱく質、ビタミンB群(B6,B12、パントテン酸など) |
黄身 | ・脂質・コレステロールが多い ・脳機能の維持に効果あり ・免疫力UP、美肌にも | ビタミン(A、D、E、K)、ミネラルの鉄や亜鉛、コレステロール、コリン |
卵の白身は、水分のほかに、たんぱく質やビタミンB群(水溶性ビタミン)を多く含んでいます。これらは、筋肉の成長や細胞が元気に働くために必要な栄養素です。また、黄身に比べて脂質やコレステロール量がすくなく、低カロリーなので、ダイエットや筋トレ時にたくさん食べるのがオススメです。
黄身は、脂質やコレステロールが約30%を占め、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミン、およびミネラルの鉄や亜鉛が豊富です。またコリンという神経伝達物質にかかわる成分も入っており、神経系や脳の健康をサポートする効果があります。
栄養価的には、黄身の方がたくさんの栄養素が入っていて優れているとも言えます。しかし、白身のタンパク質や、水分がないと、体は健康になりません。どちらかだけを食べるのではなく、黄身と白身を一緒に食べることでバランスのよい栄養がとれますよ。
生卵とゆで卵で違う?

生卵とゆで卵に栄養面での違いはほとんどありません。
2つの栄養素量を比べてみると、ゆで卵の方が、熱に不安定な成分であるレチノール(ビタミンA)とミネラルのヨウ素が、すこし少ないだけです。
参考:文部科学省策定「八訂食品成分表2023年増補」
皮膚や粘膜をすこやかに保つ働きがあるレチノールは、もともと卵に多く含まれている栄養素。ゆでて減っても、卵は他の食材よりも元々含有量が多いので不足する心配はありません。
また、甲状腺ホルモンを作る素となるヨウ素は、海藻にも多く含まれている栄養素。海藻を日常的によく食べる日本人では不足することはありません。
このように、生卵とゆで卵の栄養バランスは変わらないので、ご自身の好みや気分に合わせて選んで食べてください。
栄養面以外の卵の効果
たまごは栄養の豊富さから、食べ続けることでたくさんの健康効果を得られます。
- ダイエット効果
- 肌のハリ・ツヤがアップ
- 筋肉の増強効果
- 脳や眼の健康維持
卵には、抗酸化作用をもったビタミンEや、肌の代謝を高めるビタミンB群をはじめ、コラーゲン生成に役立つアミノ酸など肌に良い成分がたっぷり。たまごを食べ続けることで肌の弾力やハリが出て、ツルツルのたまご肌も夢ではありません!

空腹感をおさえたいダイエット時にもぴったりな卵。白身が早く消化されて素早くお腹を満たしながらも、黄身によって満腹感を持続させる効果があります。
さらに、卵は筋トレなど運動をした後にもオススメ。
筋肉の成長に必要な分岐鎖アミノ酸(BCAA)を効率的にとることができます。特に卵白に多く含まれているアルブミンは、筋肉の成長や修復に役立つ成分。ダイエット中の運動後に食べることで、食べ過ぎも抑えられ、ダイエットによる肌あれ防止にもぴったりです!
また、たまごには、脳の機能に欠かせないコリンという物質も含まれています。神経伝達物質のアセチルコリンにかかわる栄養素で、記憶力維持の効果も。受験勉強中の方や、認知症を防ぎたい方にもオススメです。
たまごは、美容が気になる若い方から高齢の方まで、幅広い年代の健康をサポートできます。
卵は1日何個までいい?上限はある?
卵は、1日あたり2個までを目安に食べましょう。
昔、卵はコレステロールが多く(約300mg/個)、心疾患や心筋梗塞のリスクがあるため1日1個までと言われていました。
これは、厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準」で、食事のコレステロール上限値を、男性750mg/日、女性600mg/日と定められていたから。
しかし、それは過去の話です。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食事によるコレステロール値の上限量は撤廃されています。

最近の研究では、食事からとったコレステロールは、血中コレステロール値にそのまま影響しないことがわかってきました。そもそも、体内のコレステロールは、そのほとんどが肝臓で生成され、食事由来はたった20-30%だったのです。
ただし、上限がないからと言っていくらでも摂取して良いわけではありません。コレステロールが増えやすい体質の方もいるため、とりすぎは危険!
1日に1個のたまごを食べると、健康に良い効果があるとの研究結果が数多く発表されています。(出典:日本動脈効果学会)
卵を毎日食べるのであれば、1日あたり1〜2個と目安を決めるとよいでしょう。
たまごだけ食べて大丈夫?
卵は栄養バランスに優れた食材ですが、卵だけの偏った食生活を続けると、健康によくない影響がでることも。
卵だけ食べたときの健康への影響
- 栄養素の不足になる
- ミネラルの吸収が阻害される
- 消化管への負担がふえる
卵にはたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルがある程度含まれていますが、食物繊維、ビタミンCが入っていません。また、エネルギー源である炭水化物も含まれる量はごくわずかです。
これらの栄養素不足により、疲れやすい体になり、風邪を引きやすく、便秘などの原因になります。
また、卵に含まれるアビジンという成分には、カルシウムや鉄などのミネラルを体内で吸収しにくくする作用(キレート作用)があります。卵だけを食べ続けると、ミネラルの吸収が阻害されて栄養素不足が悪化するリスクも。
卵はタンパク質が豊富な食品。タンパク質は、炭水化物に比べて消化に時間がかかるため、卵だけ食べると、胃や腸の負担が増え、腸内環境も悪化しやすくなります。
このように、卵だけを食べ続けることは健康によくありません。卵の不足した栄養を補うために、いろいろな食品と組み合わせて食べることで、栄養バランスが整い、健康的な食生活に近づきます。
卵が食べられなくても大丈夫!卵以外の完全栄養食をご紹介
卵が完全食として体に良い理由をお伝えしてきましたが、卵だけでは飽きてしまう、卵の味が苦手という方もいますよね。そこで、卵以外の完全食とよばれる食材をご紹介します。
牛乳
卵に代わって、牛乳も栄養が豊富で完全食に近い食材です。タンパク質をはじめ、炭水化物(乳糖)、脂質(乳脂肪)、ミネラル、ビタミンの5大栄養素や、必須アミノ酸、必須脂肪酸もすべて摂ることができます。

また骨の成長に重要なカルシウム、リン、ビタミンDが一度にとれるのも人気の理由。しかし牛乳は脂肪分が多いため、気になる方は低脂肪タイプの加工乳がオススメです。
納豆
日本の伝統食である納豆は、大豆由来の良質なタンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維など、様々な栄養素が入っていて、完全食として人気の食材。納豆に多く含まれるビタミンKは、骨の維持に役立ちます。
また、納豆菌が作り出すナットウキナーゼという酵素による、血液をサラサラにする効果も注目されています。
しかし納豆には、必須脂肪酸のリノール酸や、ビタミンB12などの栄養素が含まれていません。ビタミンB12を含むきのこや、リノール酸が豊富な海藻入りの味噌汁をプラスすることで、不足した栄養素を補うことができますよ。
バナナ
バナナには、炭水化物、食物繊維、ビタミンC、ビタミンB6、カリウム、マグネシウム、リンなどの栄養素がバランスよく入っています。
食物繊維による便通改善、カリウムによるむくみ改善、ビタミンCによる抗酸化作用や免疫力を高める効果などが期待できます。
また、バナナは、消化・吸収に優れ、スポーツの時などすぐにエネルギーが必要なときにぴったりの食材です。
ただし、脂質とタンパク質が不足しやすいので、牛乳と合わせてバナナジュースにすることで、さらに栄養バランスが整いますよ。
まとめ|食材以外でオススメの完全食
今回は、完全食として魅力的な卵をはじめ、卵以外の食材についても紹介してきました。
しかし、一つの食材だけでは、全ての栄養素をまかなうのは難しいので、不足する栄養素が入った食材を組み合わせてとる必要があります。
調理が面倒だ、忙しくて料理する時間がない!と、忙しい毎日の中で少しでも時間に余裕を持ちたいあなたには、ベースブレッドなど完全栄養食がオススメ。これらは、1日に必要な栄養素(必須栄養素)を過不足なく含んだ完璧な完全食です。
ごはんタイプからそのまま食べられるスナックタイプなど種類も豊富なので手軽に飽きることなく続けられますよ。日々の食事に完全食を取り入れて上手に健康を管理していきましょう。