「糖化ってそもそも体に悪いの?」
「どうやったら糖化を防げる?」
「糖化」という言葉にあまり聞き馴染みのない方も多いかもしれません。糖化とは、体の中で糖とタンパク質が結合して体に害を及ぼす物質(AGEs)ができること。
この糖化ストレスにより組織や血管に悪い影響を与えて老化や病気を引き起こしてしまいます。主に食事から過剰に糖質を摂ることで糖化が起きやすくなります。
今回は、糖化を防ぐための食べ物・飲み物を紹介します。糖化対策をしっかりすることで老化防止や生活習慣病予防につながりますよ。ぜひ最後までご覧ください。
糖化とは?
糖化とは、体の中で使われずに余った糖分(血液中の砂糖みたいなもの)がタンパク質と結びついて、AGEs(最終糖化産物)をつくるプロセスのこと。
例えば、白い食パンをトースターに入れて焼くとこんがりとした「きつね色」になりますよね。これが「糖化」です。食事において、糖化はおいしくなるための工程の一つですが、体の細胞でこれが起きると悪いことしか起きません。
AGEsが増えてからだに溜まること(糖化ストレス)により、細胞や血管が変形したり壊れてしまうことで、細胞の老化現象が進んで、肌トラブルや糖尿病、高血圧などの生活習慣病、がんの原因になるのです。
アフターコロナで若者にも潜む糖化ストレス。若白髪も!
糖化が老化につながると言いましたが、単に高齢者だけにおきることではありません。実は、最近若い人にも糖化ストレスが急激に増えてきています。
その原因はコロナ禍による運動不足や食生活の乱れ。実際に日本生活習慣病予防協会によると、アフターコロナ後の人間ドック検査の結果、糖化ストレスを原因とした検査項目が悪化の上位を占めています。また、糖化は若白髪を引き起こす原因の一つとも言われています。
食生活が乱れやすい若者にとっても、糖化は他人事ではないのです。

糖化ストレスはどんな影響があるの?
実際に糖化ストレスによって、自分の体にどんな影響が起きるのか気になりますよね。体の中だけでなく、お肌や髪の毛にまでさまざまな影響があります。糖化によって起きる悪影響のうち今回一部をご紹介します。
お肌のしわ・たるみ増加
実は糖化と肌の老化は密接に関係していて、糖化によってしわ・たるみが増えることがわかっています。お肌の主成分はタンパク質。糖化は組織中のタンパク質が関わっているため、お肌にも影響が出てしまうのです。肌の弾力を支える組織であるコラーゲンやエラスチンが糖化により老化が進むと、シワやたるみなどの肌トラブルが起きます。
お肌のシミ・くすみ
糖化は、肌の正常なターンオーバーを妨げることでシミが増える要因に。シミの主な原因となるメラニン色素は、ターンオーバーによって肌の奥から体外に排出されます。しかし肌細胞が糖化してAGEsが蓄積されると、ターンオーバーが正常に働かずにメラニン色素が肌表面に蓄積、シミになるのです。
また肌のくすみの主な原因はAGEsです。AGEsが多い肌では、肌の色が黄色っぽい色になる傾向があります。黄色味が強い肌はくすんで見え、血色が悪く、不健康と思われる原因に。

心疾患・生活習慣病の増加
糖化は血管にも大きな影響を及ぼします。血管内のタンパク質が糖化ストレスによって、血管が硬く、弾力が失われてボロボロに。さらに血流が悪くなることで、AGEsは排出されずに体内に溜まり続け、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まります。
また、糖分を摂りすぎることで糖化が急速に進み、糖尿病発症、さらに糖尿病合併症として腎機能、神経機能の低下にも繋がります。
認知症

脳細胞の糖化が進むと、認知機能にも影響があることがわかっています。糖化によって、神経細胞が通常の老化による速度よりも急速に減っていってしまうことで、正常な脳の働きが徐々に失われていきアルツハイマー認知症になるリスクがあります。
白髪・抜け毛が増える
糖化は、肌や体の中だけでなく、髪の毛にも影響を与えることが一部の研究でわかっており、糖化が進むと白髪や抜け毛が増えることにも繋がると言われています。
糖化によって増えるAGEsは、細胞や組織の老化を進める原因。髪を黒色に保つ色素のメラニンと呼ばれる物質が糖化によって壊されることで、若くても白髪が増えてしまうのです。また、糖化は髪の毛を生み出す毛母細胞の作用を阻害したり、細胞に炎症を起こすことで抜け毛につながるという研究結果も。
白髪や抜け毛の原因は複雑で、糖化を防ぐことで白髪や抜け毛は全て解決できるわけではありません。しかし糖化によって進行する可能性があることは事実。糖化をふせぐことで、白髪や抜け毛になりにくい頭皮環境を整えたいですね。
糖化を防ぐには?3つのポイントを紹介!
からだにいろんな悪影響を及ぼす「糖化」。糖化を防ぐために取り組むべきポイントを3つお伝えします。
- すでにAGEsになっている食べ物をたべない
- 体の中でAGEsをつくる原因となる食べ物をたべない
- AGEsを体で作らせない
それぞれについて詳しく解説しますね。
すでにAGEsになっているものを食べない
焼いて焦げ目がついている食べ物、揚げ物には注意しましょう。実は同じ食材の中でも調理方法で食べ物に含まれるAGEsの割合は、変わってきます。
一般的に、AGEsの量は、「生」→「蒸す」→「ゆでる/煮る」→「炒める/焼く」→「揚げる」の順に高くなります。
とくに揚げ物は200度くらいの高温であげているのでAGEsが多い食品。食べるだけで体内にAGEsを増やしてしまいます。唐揚げは美味しいですが、できるだけ蒸したり茹でることで老化を防ぎましょう。

どうしても唐揚げを食べたい場合は、レモン汁やお酢をかけるのがおすすめ。レモン汁に含まれるクエン酸は、糖質からエネルギーを作りやすくして代謝を高めてくれます。また、お酢に含まれる酢酸は、血糖値の上昇をおさえる働きがありますよ。
体の中でAGEsをつくる原因となる食べ物をたべない
糖化の原因となる食べ物、つまり、血糖値を上昇させてしまう成分が多い食べ物をたべないようにしましょう。血糖値を上昇させる成分、それは「ブドウ糖」「果糖」です。また、この2つの成分を組み合わせてできる砂糖の主成分「ショ糖」は、とくに要注意!血糖値が上がって糖化ストレスをかける原因になるので注意しましょう。
- 砂糖たっぷりのお菓子・ジュース
- ごはん、パン、麺類などの炭水化物の過剰な摂りすぎ
- 大量のフルーツ
ジュースやお菓子に含まれる多くの砂糖や甘味料は、血糖値を急上昇させてAGEsを作る量が多いため、できるだけ控えてください。炭水化物やフルーツも適量なら問題ありませんが、大量にとると糖化を進める原因になってしまいます。バランスよく適度な量に抑えてくださいね。
AGEsを体で作らせない
血糖値が高くなるほど体内でAGEが作られやすくなります。とくに血糖値の急激な上昇は、AGEsをつくるもっとも大きな要因。血糖値を上げない食生活がAGE抑制に効果的です。
たとえば早食い。一度にたくさんの量を食べてしまうと、血糖値が急激に上がってしまい、AGEsが発生しやすくなります。早食いがクセになっている人は、ひと口しっかり20回以上しっかりと噛むように心がけましょう。時間をかけてゆっくり食べることで、血糖値の急上昇を防げますよ。
糖化を防ぎ、AGEsを溜め込まないようにするには、バランスの取れた食事や糖質の摂取を制限することが大切。糖化の進行をストップさせて賢く老化を防ぎましょう。
糖化によい食べ物、飲み物おすすめ
万が一、糖化を防ぐポイントが実行できなかったときも大丈夫!糖化を防ぐ食べ物、飲み物を摂ることで老化対策ができますよ。糖化を防ぐためには、下記のような食べ物を積極的に摂ることをオススメします。
青菜野菜、かんきつ果物
ブロッコリーやピーマンなどの青菜野菜、レモンやグレープフルーツなどのかんきつ系の果物に多く入っているビタミンC。ビタミンCは糖化を防ぐとても重要な栄養素として知られています。ただ、フルーツは食べすぎると果糖も過剰摂取につながるので、1日100gまでに抑えましょう。

緑茶、ルイボスティー
緑茶にふくまれる「カテキン」というポリフェノールには糖化を防ぐ働きがあります。とくにカテキンの高濃度タイプに効果が高いとされています。また、カテキンは糖化を防ぐ以外にも体脂肪を減らす効果もあるのでダイエット中にはぜひとりたい食品ですね。
さらに、ルイボスティーにも糖化を防ぐ働きがあります。ルイボスティーはノンカフェインなので、カフェインを気にする夜の時間帯にも気軽に取り入れやすいのでおすすめ。
普段日常的に飲んでいるコーヒーなどを緑茶やルイボスティーに置き換えてみるだけなので取り入れやすいですね。
海藻
海藻に含まれるねばねば成分(増粘多糖類)は、糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急激な上昇をおさえてくれます。
海藻それぞれに特有のねばねば成分が含まれていて、代表的なもので言えば、海苔や天草などの紅藻類には「カラギーナン」や「寒天」が、またコンブ、ワカメ、オキナワモズクなどの褐藻類には「アルギン酸」や「フコイダン」が含まれます。
このねばねば成分は、体内で吸収されないまま体から排出。食事のときに先に海藻を食べることで、食事に含まれる糖の吸収を抑えて糖化を防ぎますよ。
ナッツ
アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類は糖質が少なく良質な脂質ビタミンEが豊富。ビタミンEは、ビタミンC同様に抗酸化作用がある成分として知られていますが、お肌のAGEsを減らす働きがあることもわかっています。
完全食
いろいろなレシピを考えたり、調理するのは大変・・・という方に是非オススメしたいのが「完全食」。栄養バランスが整っている完全食は、糖化やAGEsの発生も抑えます。完全食は体に必要な栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)が過不足なく入っているので、普段の食事代わりとしても人気で、最近注目の食品のひとつ。
糖化を防ぐ効果のあるビタミンCやビタミンEなどの抗酸化成分や良質な脂質もしっかりと補給できます。さらに完全食には糖質が控えめな食品も多く、糖化の原因物質が少ないので、安心して食べられますよ。
また完全食は、食事タイプ、スナックタイプ、ドリンクタイプなど種類も豊富。どのタイプも料理の手間要らずなのに栄養バランスが完璧です!糖化対策の食事をつくる時間もしっかりと確保することもできます。近年、完全食として人気を集めている「ベースブレッド」などが初心者にはオススメです。
食事以外でもできる糖化対策!
食事以外にも糖化を食い止める方法があるのでご紹介します。
睡眠時間を6時間以上とる

十分な睡眠を確保することは、抗糖化の重要な要素の一つ。睡眠不足はストレスホルモンの分泌を増加させ、血糖値の上昇を引き起こしたり、免疫機能が低下することで糖化反応が進行するリスクが高まります。また、睡眠時間が確保できていないと、肌のターンオーバーも正常に働かず、肌の糖化も進行する場合も。
6時間以上の睡眠を確保して心もからだもしっかり休めることで、細胞も修復され糖化によるダメージを減らせますよ。
適度な運動をする
運動は血糖値の調整や代謝を促すことで、糖化をふせぐための重要な役割をはたします。また、運動によって筋肉が活性化され、血糖をエネルギーとして使用するため、糖化反応の進行を防ぐことができますよ。
適度な有酸素運動や筋力トレーニングを組み合わせることで、全身の健康を維持し、糖化による悪影響を軽くしましょう。
規則正しい生活をする
不規則な生活はストレスを引き起こし、糖化の原因に。規則正しい生活を送ることで、ホルモン分泌や体内リズムを整えましょう。とくに食事や睡眠、運動など生活習慣を正しく保つことで、体内の糖代謝も安定しやすくなりますよ。
禁煙する
喫煙は体内の酸素供給を減少させ、酸化ストレスを引き起こすことが知られています。これにより、抗酸化能力が低下し、細胞や組織のダメージが増加。加えて糖化反応を促進し、慢性的な炎症を引き起こす可能性もあります。禁煙することで、糖化をはじめ、体への酸化ストレスのダメージを軽減できますよ。
また煙草を吸う人は、ビタミンCを破壊してしまうので、非喫煙者の2倍以上のビタミンCが必要と言われています。禁煙してさらにビタミンCを補うことで糖化を防げますね。
まとめ|手軽に糖化を防ぐには食事対策がオススメ!
今回は糖化の原因や糖化をふせぐ食べ物・飲み物についてお伝えしました。糖化は、甘い食べ物の取りすぎで血糖値がコントロールできない場合に起こりやすい現象。肌の老化や若白髪にも繋がってしまいます。
糖化を防ぐには、食事内容の見直しの他に、規則正しい生活や適度な運動、6時間以上の睡眠を取ることがベスト。ただ、全部を改善するのは時間も手間もかかるので、まずは食事内容の見直しから取り組みましょう。
食事の中でもまず手っ取り早く取り組みたいなら、調理済みで手軽に食べられる「完全食」がおすすめ。食事を置き換えるだけなのでとても簡単ですよ。ぜひ取り入れてみてくださいね。