みなさんは毎日どれくらい睡眠時間を確保できていますか?経済協力開発機構OECDの調査によれば、世界の平均は8時間27分。これに対して、日本人の平均睡眠時間は7時間22分。OECD加盟国33か国中で最も短いことが明らかになりました。
さらに厚生労働省の調査によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は男性が37.5%、女性が40.6%。とくに女性の睡眠不足は切実な社会問題となっています。睡眠不足の状態が続くと、健康や生活に悪影響を及ぼす可能性があるかもしれません。
今回は、睡眠についての重要性や睡眠の質を高めるために取り組むべきポイントについてお伝えします。睡眠の質を高められるおすすめの食べ物についても紹介するのでぜひ最後までご覧ください。
睡眠不足がもたらす体への影響とは?
睡眠不足は以下のように体へさまざまな影響を及ぼします。
- 免疫力の低下
- 集中力・判断力の低下
- 代謝の乱れ
- ストレス・不安感の増加
- 肌トラブルの増加
- 慢性的な疲労感
- ホルモンバランスの乱れ
人は眠っている間に日中に起きたダメージを修復しています。しかし十分な睡眠が取れないと体が十分に回復できません。日中に持続的な疲労感や倦怠感が残って、学習・記憶などのパフォーマンスが下がり事故につながったり、免疫機能もうまく働かずに感染症や風邪にかかりやすくなります。
さらに代謝は乱れて食欲も増進!特に睡眠が十分でないと、高カロリーで栄養価の低い食べ物を好む傾向があり、体重増加につながるリスクがあがります。
また睡眠不足はストレスホルモンであるコルチゾールが増加し、心身のバランスが崩れやすくなります。これにより集中力の低下や気分の不安定さが生じ、日常生活に悪影響を及ぼすことも。その他、性ホルモンや成長ホルモンや肌の再生を妨げ、シワやくすみなどの肌トラブルを引き起こします。
睡眠は質も大事!
睡眠不足は体に悪いからといって、単に長い時間睡眠をとるだけでは十分ではありません。
大切なのは「質の高い睡眠をしっかりとること」。十分な時間を確保していても、睡眠の質が良くなければせっかくたくさん寝たとしても、睡眠の効果は最大限に発揮されないままになってしまいます。
現に、睡眠に不満を持っている人は男女ともに7割程度いますが、そのほとんどの人が「寝ても疲れがとれない」と感じています。

質の高い睡眠は、からだや脳が本来の機能を回復・維持するために不可欠なもの。深い眠りの段階では、成長ホルモンの分泌が促進され、細胞修復や免疫力アップにつながります。脳の活動も整理され、記憶力や学習能力を高める効果もあります。
また質の高い睡眠を心がけることは、からだの健康以外にも、心理的な側面にも効果を発揮します。深い眠りはストレスや日中の刺激から解放され、リラックス状態に入ることでメンタルヘルスの向上が期待できます。睡眠の質が悪いとうつ病や不安障害のリスクを高めるリスクも。良質な睡眠は、こころのケアには無くてはならないものです。
睡眠の質を上げるのにおすすめな食品は?
良質な睡眠をとるには、健康で充実した生活を築くことが鍵となります。まず簡単に取り組めるのが「睡眠の質を上げる食べ物」を取り入れること。そこで、睡眠時間よりも大切な睡眠の質を上げる食材や栄養成分と、食材を活用したおすすめレシピまで紹介します!
大豆製品(納豆、豆腐)、乳製品、鶏肉
納豆や豆腐などの大豆製品や、チーズ、牛乳などの乳製品、鶏肉は、リラックス効果のあるアミノ酸「トリプトファン」が豊富に含まれ、睡眠の質が上がると言われています。普段の食事にも取り入れやすい食材ばかりなので、より意識的にとるようにこころがけると良いでしょう。豆腐ハンバーグにするとボリュームも出てよいですね。
さば、さんま、マグロ、サーモン
オメガ-3脂肪酸と呼ばれるDHA、EPAを豊富に含む魚は、寝つきが良くなり、長く寝る効果があると言われています。魚をたくさん食べるのが難しい方は、オメガ-3脂肪酸がたくさん含まれている「アマニ油」などをスプーン1杯食べるのもオススメです。
ナッツ類
くるみ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオなども睡眠の質を高める栄養素「トリプトファン」や「マグネシウム」が豊富に含まれています。寝る前に白湯と一緒にとると、体もあたたまり入眠しやすくなりますね。
はちみつ
はちみつを寝る前にとることで、睡眠中にはちみつに含まれる糖類(グルコース、フルクトース)が脳で消費され、深い眠りを促す効果が期待できますよ。とりすぎるとカロリー過多になるので、スプーン1杯程度(5g、20kcal)がオススメです。
トリプトファン
トリプトファンは、必須アミノ酸(体の中で作ることができずに、食べ物から摂る必要がある栄養素)のひとつ。リラックス効果があり「しあわせホルモン」と呼ばれるセロトニンや、からだのリズムを整える働きがあるメラトニンを作り出すアミノ酸です。
マグネシウム、カルシウム
マグネシウムとカルシウムは必須栄養素であるミネラルです。神経伝達物質の働きをサポートし、筋肉をリラックスさせる効果があります。葉物野菜、ナッツ、種子、全粒穀物、魚などが良いマグネシウムの源です。マグネシウムや他のミネラルも豊富に含む海藻も、手軽に睡眠の質をアップできてオススメです。
GABA(ギャバ)
GABA(ギャバ)はγ(ガンマ)アミノ酪酸というアミノ酸のひとつ。アミノ酸ですが、タンパク質の素にはならずに、神経伝達物質として働きます。
人や動物の脳や脊髄に豊富に存在していて、興奮を抑え、リラックスさせる効果がありますよ。トマトやかぼちゃなどの食材にも含まれていますが、最近ではチョコレートをはじめ、加工食品もたくさん販売されていてます。GABA入りの食品が人気です。
またGABAが多く含まれるじゃこと、トリプトファンを多く含む豆腐も一緒にとれるじゃこ冷奴は簡単にできますね。
ビタミンB6
ビタミンB6はビタミンB群のなかでもタンパク質の分解や再合成に必要なビタミン。髪や皮膚、爪の健康維持に役立ちます。そんなビタミンB6は、神経伝達物質であるメラトニンやセラトニン、GABAを増やすサポート役として活躍します。
鮭、さば、さんまなどの魚類、鶏胸肉やささみなどの脂身の少ないお肉や魚、バナナ、ジャガイモなどでビタミンB6を補給できますよ。
食べ物以外で睡眠の質を上げるには?
食べ物以外にも次のようなことで睡眠の質をあげることができますよ。
- 適度に運動をする
- 入浴や、温かい飲み物で体を温める
- 起床後に日光を浴びる
- 静かに寝れる環境を整える
- 寝る前にスマホ・タブレットを見ない
適度に運動をする

運動は体温を上昇させ、運動後に体温が下がることで入眠へサポートしてくれます。また運動によってストレスホルモンが減少し、心身のリラックスにも繋がります。ストレッチなどの軽い運動を寝る前に取り入れることで、日中緊張した筋肉もほぐれて睡眠サイクルが安定化し、深い眠りを促してくれますよ。
入浴や、温かい飲み物で体を温める

体を温めることで体温が上昇し、その後に急激に下がることで睡眠が深まりやすくなります。温かいお風呂に入ったりハーブティーや白湯を飲むことで筋肉をリラックスさせ、心地よい眠りをサポートします。
起床後に日光を浴びる
日光は体内時計を調整し、メラトニンの分泌をコントロールする働きがあります。朝に日光浴をすることで、体内時計がリセット!夜間のメラトニン分泌が保たれて、質の高い睡眠が期待できますよ。
静かに寝れる環境を整える

静かで快適な寝室環境は深い眠りをサポートします。外部の騒音や明かりの影響を抑えることで、目と耳への刺激も最小限に。敷布団やマットレスなどの寝具の快適さも、安眠環境を整えるためには大切ですよ。
寝る前にスマホ・タブレットを控える

ついついベッドで横になりながらスマホを眺めてしまっていませんか?ブルーライトを発するスマホやタブレットはメラトニンの分泌を妨げ、脳が覚醒状態に。目が覚めた状態を維持してしまうため、寝つきが悪くなり、深い眠りに至りません。寝る前のデジタルデバイスの使用を控えることで、自然な眠りに移行しやすくなりますよ。
完全食で気軽に栄養バランスを整えるのもオススメ!
時間も費用も限られている中で、今すぐ生活習慣を変えたり、睡眠環境を整えるのは難しいですよね。そんな方にはやはり睡眠の質を上げる食品を取り入れるのがベスト。
とくに、普段の食事を別の食事に置き換えるのがもっとも手軽な方法で効果を得やすいのでおすすめです。
しかし、今回紹介した睡眠の質を高める食材や栄養素をバランスよく摂って、継続し続けるのは大変ですよね。そこで、オススメなのが「完全栄養食(完全食)」です。
「完全食」とは、人が健康に過ごすために必要とする全ての栄養素「必須栄養素」をバランスよく含んだ食品です。日清食品などの大手企業をはじめ、様々な企業が販売しており、食品タイプごとに食事タイプ、スナックタイプ、ドリンクタイプの3種類あります。
完全食には必須栄養素であるタンパク質もしっかり摂れるので、メラトニンの産生を高めるトリプトファンも豊富。さらにビタミンB6や、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルも不足なく入っています。
さらに、粉末を溶かすドリンクタイプの場合は水を調整豆乳に変えたり、スナックタイプの完全食の場合は飲み物に牛乳を取り入れることでさらに睡眠の質を高める栄養素を取り入れられますよ。
まとめ
今回は、睡眠不足による体への影響や、睡眠の質を上げる方法、とくに食べ物や栄養成分についてお伝えしました。こころとからだの健康のために、リラックスして質の高い睡眠を意識的にとるよう心がけることが大切です。
生活習慣・睡眠環境を整える時間がない忙しい現代において、食事内容を見直すことが質の高い睡眠への第一歩となります。簡単に試せる「完全食」も活用しながら、良質な睡眠時間を増やして日中のパフォーマンスアップにつなげてくださいね。