「1日1食で健康が保てたら・・・」
忙しい日々を送る中で、誰もが一度は考える理想ですよね。
1日1食とは、言葉の通り1日に1回の食事だけをとる食生活のことで、「OMAD(One Meal A Day)」や「プチ断食」とも呼ばれています。
今回は、
- 1日1食は本当に効果があるの?
- 1日1食しか食べないで健康は大丈夫?
- 栄養はたりるの?
などの疑問に管理栄養士が徹底解説します。
1日1食を取り入れるための手順や失敗しないコツなどにも触れていきますので、気になる方はぜひ最後までご覧ください。
はじめに結論!
1日1食は、摂取カロリーを制限することで短期間で一時的にやせる効果があります。日々の食べ過ぎをリセットしたい人などにおすすめの食事法です。
しかし、長く続けると逆にやせにくい体になったり、栄養素欠乏症のリスクがあります。実践する場合は、無理のない範囲で徐々に食事量を調整して短期的(1週間以内)のみにとどめましょう。
1日1食の効果は?本当にやせるのか
1日1食とは、言葉の通り1日に1回の食事だけをとる食生活のことで、「OMAD(One Meal A Day)」や「プチ断食」とも呼ばれています。1日3食から1食に食事回数を減らすことで、体重は減り一時的なダイエットはできます。

そのほかにも、以下のような効果が期待できます。
- 胃腸の負担を軽減できる
- 食べ過ぎが防止できる
- 食費が削減できる
一時的にダイエットができる
1日1食は、基本的には必要なカロリー・栄養素を1食の中で全てとるという考え方が基本となります。ただし、1食で1日に必要な全てのカロリー・栄養素をとることは胃の容量的にも難しいところ。
結果的に1日3食から1食にすることで、1日の総摂取カロリーが減り、一時的に体重が落ちます。
胃腸の負担を軽減できる
食事の回数を減らすと胃腸が働く時間も短くなり、胃腸の負担を軽減することができます。また、胃腸が休められることで、消化不良や胃もたれなどの症状が改善されることがあります。
食べ過ぎが防止できる
日々の食事で、必要摂取カロリーをオーバーしている人は食べる回数を減らすことで正常な摂取カロリーに収まります。また、胃も小さくなるのでいつもよりも少ない量で満足し、食べ過ぎを防止できます。
食費が削減できる
1日1食にすることで、食費が削減できます。また、食事の準備や片付けの手間が減るため、時間や手間の節約にもつながります。
以上のように、「1日1食」には一時的なダイエット効果や健康面やコスト面で効果が期待できます。ただし、どんな人にもおすすめできるわけではありません。
1日1食はどんな人におすすめ?

- 日々の食べ過ぎをリセットしたい人
- 外食が多く、食生活が乱れがちな人
- すでに肥満体型で、食べすぎた体重を落としたい人
- 一時的に痩せたい人(長期継続はNG)
1日1食は、すでに肥満体型で、毎食食べすぎている人が食生活を改善する目的で取り入れたい人におすすめ。普通体型の方や単純に痩せたいからという目的で実施するのは危険です!
ダイエット目的で1日1食をとることは、基本的におすすめしません。どうしてもやりたい場合は短期的な実施(1週間以内)にとどめ、長期間実施することは避けてください。無理な食事制限は逆に痩せにくい体になってしまいます。
1日1食を実践している芸能人の真似をしていい?
1日1食を実践することで、健康維持に成功した人がいます。長寿番組「笑っていいとも!」の司会で有名なタレントのタモリさんや、お笑い界レジェンドのビートたけしさん、実力派俳優の藤原竜也さんなどの芸能人が1日1食を実践していると公表して有名です。
しかし、芸能人が実施しているからといって、そのまま真似してはいけません。彼らは、自分の体に効率よく栄養をとるための1日1食の方法を何年もかけて編み出し、それを何年、何十年も続けています。すぐに同じ食事内容を真似しても、自身の体に合うかわからないし、1日1食になれるまでにも相当な時間が必要です。
1日1食で栄養はたりるのか
人が1日に必要な栄養量は、1食にしたからといって減るわけではありません。1日に必要な栄養を1食で全て取り入れるのがベストです。

しかし、すべて一度にとるのは普通の体格の人では難しいのが現実。また、頑張って食べたとしても、体内の許容量を超えると、キャパオーバーで吸収されずに体外に排出されます。結果的に栄養素不足になるのです。
1日1食を長期的に続けると慢性的にエネルギーと栄養素が不足して欠乏症に。
- エネルギー不足:頭がぼーっとする、決断力がにぶる、やる気が出ない
- タンパク質不足:筋力低下、力がでない、すぐに疲れる
- ビタミン・ミネラル不足:肌がカサカサ、髪の毛がパサパサになる、骨がもろくなり骨折しやすい
- 免疫力低下:風邪をひきやすい、風邪が治りにくい
最低でも、生きるために必要なエネルギー(基礎代謝量)分のカロリーは摂取しましょう。
年代ごとの参照体重における基礎代謝量の一例
女性 基礎代謝量(参照体重) |
男性 基礎代謝量(参照体重) |
|
---|---|---|
15〜17歳 | 1,310kcal(51.9kg) | 1,610kcal(59.7kg) |
18〜29歳 | 1,110kcal(50.3kg) | 1,530kcal(64.5kg) |
30〜49歳 | 1,160kcal(53.0kg) | 1,530kcal(68.1kg) |
引用:日本人の食事摂取基準(2020年版)
1日1食のデメリットと注意点とは?
「1日1食」には、栄養不足以外にも、無理な実践や偏った食事内容によって、健康への影響もさまざま。1日1食を実践したいときは、デメリットもしっかり理解した上で行いましょう。
デメリット
- 痩せにくい体(省エネ体質)になる
- ホルモンバランスが崩れる
- ストレスがたまりメンタルヘルスにも影響
- リバウンドのリスクがある
1日1食を続けていると、常にエネルギー不足の状態となり、体が飢餓状態になったと勘違いします。その結果、エネルギーをたくさん使わなくても生活できるような体(省エネ体質)に変化します。
加えて、タンパク質も不足してしまうと筋肉量が低下して代謝が下がり消費カロリーも減少。今まで同様に食事を制限しても消費しにくく痩せにくい体になるのです。
一度、省エネ体質の体になると、元の消費量に回復するには相当な年月が必要です。いつか1日3食に戻したいと思っている人には1日1食の長期実施は絶対におすすめできません。
また、血管やホルモンバランスにも影響します。1日1食の食事をすると、低血糖状態から血糖値が急激に上昇し、血管に負担がかかります。加えて、血糖値を抑えるホルモン(インスリン)も多量に分泌されるなどホルモンバランスが崩れて体調不良をおこしやすくなります。加えて「食べたいのに食べられない」というストレスから精神状態にも影響がでてきます。

さらに、1日3食の食生活に戻して摂取カロリーが急激に増えると、消化機能が追いつきません。食べたものは消費されずにそのまま脂肪となり体に蓄積。一気に体重が増えるリバウンドのリスクが高まります。
1日1食をおすすめできない人
1日1食の食事法は健康面に様々な影響があり、次の様な方にはおすすめできません。
- 高齢者
- 成長期の人
- 妊活・妊娠中の人
- 子育て中の人
- 食べることに幸福感を感じている人
高齢になるほど食が細くなり、1日3食たべても低栄養状態になることもあります。また、成長期や妊活中、妊娠中の女性が1食に制限してしまうと必要な栄養素が行きわたらず自身の成長や胎児の発育がストップする危険も。
子育て中の人は、子どもとのコミュニケーションを優先させるべきです。食卓を囲み、同じ食事をとることで親子のコミュニケーションが深まりますよ。
食べることが好きな人、食べることに幸福感を感じている人は、1日1食はストレス負荷が大きくなります。1食分をドカ食いしてしまったり、食事回数を戻した時に食べすぎてリバウンドのリスクが高まります。
「1日1食」を取り入れるための3ステップ|お腹が減りにくい工夫も
デメリットも理解しながらも、どうしても1日1食を実践したい方。今の食生活から急に食事回数を減らしては変化に体が追いつかず、不調をきたす可能性があります。ぜひ、以下の3ステップにしたがって取り入れてみてください。
①まずは朝食を食べる習慣をつける
驚きかもしれませんが、1日1食を実践する前に、朝食を食べる習慣がない人は、朝食を食べるようにしましょう。朝食を食べると、代謝が上がり、体内時計が整います。
②1日2食にして食事量を減らす
朝食を食べるようになったら、2食にして徐々に食事量を減らすようにします。減らす食事量は、自分の体調に合わせて調整しましょう。
③1日1食にして食事内容を見直す
2食の生活に慣れたら、最終的に1食にして食事内容を見直します。1食にするときには、必須栄養素が入った食事をとるように心がけ、偏った食事にならないように注意しましょう。
以上のように、ステップアップしながら「1日1食」を実践することで、一気に減らすよりも健康的に続けることができます。
また、食事量を徐々に少ない量にすることで、1日1食でもお腹が減りにくい状態をつくりますよ。
「1日1食」で失敗しないためのコツ5選!
毎日1日3食しっかり食べている人にとって、1日1食のみの食生活では空腹に耐えられないと途中で挫折してしまうことも。そこで、1日1食を行う上で失敗しないためのコツを5つご紹介します。
食べる時間は固定する

1食は1日のうちいつ食べてもOKです。ただ、食事の時間帯は固定しましょう。毎日同じ時間帯に食べることで、体内時計が整い、食欲をコントロールしやすいですよ。
夕食の時間帯に食べる
いつ食べても問題ないのですが、強いて言うなら夕食時がおすすめです。1日1食の食事法は、1食で多くの量を食べるので、血糖値を抑えるホルモン(インスリン)の分泌量が一気に増え、結果的に眠くなりやすい状態に。朝・昼の活動時間帯だと眠気が支障をきたす場合もあるので、活動量が低い夕食時がよいでしょう。
また、朝や昼に比べて、夕方は時間に余裕があり、ゆっくり味わって食べることもできます。
食事の栄養バランスに注意する
1回の食事で必須栄養素である5大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)をバランスよく摂取するように心がけましょう。栄養が偏ると、体がもっと栄養がほしいと脳に訴えかけるため、すぐにお腹がすいてしまいますよ。

食事量を徐々に減らす
一度に大量の食事を摂取するのではなく、食事量を徐々に減らすことが大切です。胃を広げないようにすることで、少量でも満腹感を得やすく、お腹がすくのを抑えます。
水分をしっかりとる
人の体は60%が水分でできています。1日1食では、圧倒的に水分量が足りません。脱水状態になると血液もドロドロして栄養が体全体に行き届かない状態に。食事の前後に限らず、日中もこまめに水分補給をとりましょう。
カフェイン入り飲料などの利尿作用があるものは控え、ゼロカロリーの水やお茶を積極的にとってください。水分を十分に摂ることで、満腹感も得やすくなります。
1日1食は、メリットもありますが間違ったやり方は健康へのリスクがあります。上記のコツを参考に取り組んでみてください。
1日1食で何をたべてもいいのか
せっかく1日に1食しかない食事。好きなものをたくさん食べたいと思いますよね。しかし、栄養の偏った食事を食べるのは危険です。
仮に、大好きなハンバーガーを基礎代謝カロリー分食べてしまうと、ビタミン・ミネラルは不足し、脂質と塩分は過剰な状態に。欠乏症だけではなく過剰症のリスクまで高まります。
1日1食にぴったりの食事はこれ!
おすすめの食事は、主食・主菜・副菜・汁物が揃った栄養バランスの良い定食です。必須栄養素である5大栄養素がバランスよくとれる定食は、1日1食に最も適した食事です。例えば、具沢山スープに、サラダや野菜炒めなどの副菜、焼き魚やグリルチキン、蒸し豆腐などのタンパク質源の主菜に、ご飯があれば完璧です。

しかし、1食で必須栄養素をすべてバランスよく満たすことはとても難しいですよね。食材の種類も必要になり、調理の手間もかかります。そこで、今話題の完全栄養食(完全食)も合わせてとることがおすすめ。
完全食は、必須栄養素がしっかり配合されているので、不足しがちな栄養素の補給にぴったりです。
まとめ
今回は「1日1食」食事法についての効果やデメリット、実践するときの手順や失敗しないコツについて紹介しました。1日1食を実施する場合は、デメリットもしっかり理解した上で無理のない範囲で行いましょう。
健康的に痩せたい方、無理なく食事内容を見直したい方は、1日1食よりもおすすめの食事法があります。ぜひそちらの記事もお読みください。